2025年12月5日金曜日

喪中葉書を戴いて

 11月の下旬ごろから例年の如く喪中はがきが届き始めました。私たちの親の世代のほとんどが亡くなられたこともあってか、ここ暫くは少ない年が続いたのですが、今年あたりから配偶者や兄弟姉妹亡くなられたという葉書が増えて来ています。年齢的に当然と言えばそれまでなのですが、当事者にとっては悲しく淋しいことです。

中にはお子達を亡くされた方も居られ、痛ましい限りです。逆縁ほど悲しいものは無いと思います。親や配偶者との離別も勿論悲痛なものですが、一緒に築き上げて来た充実した思い出があり、やがて納得できる日が訪れ、時間が癒してくれるでしょう。しかし愛情と期待を込めて育て上げた子供を失うことは、子育てに費やしたそれまでの人生が思い出に変わるだけでなく、自分の将来が無くなるに等しいことだと思います。

今年一年間に愛しい方を亡くされたすべての皆さんに、心からお悔やみを申し上げますとともに、御心に平安が訪れますように、こころよりお祈り申し上げます

2025年11月1日土曜日

吟行の効用

 私は昭和59年から平成8年まで、当時九年母同人で西宮俳句協会会長であった古澤碧水師が指導されていた碧桜会にて、平成9年から平成18年までは「九年母」西田浩洋元編集長が指導されていた初凪句会で俳句を学びました。その学びは兼題での作句ではなく、毎月一回の吟行でした。私の俳句人生40年の内の前半分の20年間は吟行だけの勉強だったのです。会の仲間と毎月出かけました。そして季語の現物をしっかり観察して、その季語の持つ本意を頭に叩き込みました。その時代の勉強が今になって大いに役に立っていると思います。

芭蕉翁は「奥の細道」だけでも約600里、約2400キロメートルを150日掛けて歩かれたのです。凡庸な私にはこんな真似はとてもできませんが、俳句は足で詠むとも言います。同行の皆さんに迷惑を掛けないことを前提に、本部吟行と千鳥吟行の毎月2回の吟行だけは欠かさず続けようと思っています。

2025年10月5日日曜日

俳句の秋

 10月に入ると各地から俳句大会の選者の依頼や応募句の選の依頼が相次いで送られて来ます。田辺秋季俳句大会や西播磨俳句大会の選は終了し、目下明石市高年クラブ連合会俳句会の投句の選の最中です。高野八葉全国俳句大会や住吉大社観月祭献詠句の結果発表の原稿も準備できました。10月18日はたつの市新宮町で西播磨俳句大会が、11月8~9日は大阪で関西ホトトギス俳句大会が開催されます。まさに文化の秋、芸術の秋、俳句の秋です。それにつけても恒例だった摩耶山俳句大会が終了したことは返す返すも残念な事です。間もなく虚舟師の一周忌を迎えます。

各地の俳句大会での当会会員の活躍の様子が聞こえて来ます。近年、当会会員の積極的な姿勢が目立ってきました。西播磨俳句大会の応募句では、入賞・入選29句の内13句を当会会員の句が占め、住吉大社観月祭献詠句でも、入賞・入選13句の内6句が当会会員の句でした。

主宰の就任あいさつで申し上げたように、様々な形で褒められて欲しい。褒められると精神的に前向きの循環が生まれます。もっと褒められたいという気持ちが湧くのです。その繰り返しが句の上達をもたらします。そのためには積極的に投句することが何よりも大切なことです。「求めよ さらば与えられん」とは新約聖書の「マタイ伝」に由来する言葉です。奮ってチャレンジしましょう。

2025年9月1日月曜日

多作の勧め

 作者によっては毎日何十句という俳句を詠む人もあれば、雑詠選に出すため月に5句詠むのが慣わしのようになっている人もあります。人は様々で、どちらが良いというものではありません。しかしこれはベテランの域に達した人のことであって、その域に達していない人は、多作を心得るべきだと思います。

駄句でもなんでも良いのです。とにかく5・7・5の形に言葉を配して季題を置く事を、普段から心掛けましょう。散歩する時も、食事をする時も、家事をする時も、いつも俳句のことを考えていて、とにかく何でもよいから5・7・5にしてみましょう。俳句のリズムを心に浮かべることです。朝顔があったら詠む。蝉が鳴けば詠む。何かに感動したら詠んでみましょう。すべて訓練です。

この様な訓練を積んでいると、自然に俳句が浮かんでくるようになります。句材を発見する訓練が効果を発揮しだしたのです。たくさん詠んで、その中から気に入った句を句会に出せばよいのです。とにかくたくさん詠むことをです。そうすれば良い句も詠めてきます。

私はその昔、伝統俳句協会賞の応募句を得るために、三日間神戸港に通って、毎日50句詠む行に取り組んだことがありました。俳誌「未央」の主宰をされた吉年虹二先生が今宮戎神社の初戎献詠俳句祭の表彰式の際、「君は月に何句詠むかね」と質問されました。私が主宰になる遥か前のことです。私は「毎日5句ぐらいですから150句ぐらいです」とお応えしたら先生は、「私は毎月900句は読んでいるよ」と仰いました。さすがに偉い先生は違うと感心したことがありました。皆さん、たくさん詠みましょう。

2025年8月4日月曜日

『摩耶山之俳句』(摩耶山俳句大会30年の記録)の刊行

 当会同人で推薦作家であった摩耶山天上寺の前貫主 伊藤浄厳大和尚(俳号 虚舟)が生前に企画され準備を進めておられた冊子『摩耶山之俳句』が、御令嬢の玲子さんのご努力でこの度上梓された。平成3年の第1回から令和4年の30回までの、全入賞・入選句を網羅した記録に選者や清記者の随筆が添えられた、196頁に及ぶ冊子である。

その冊子を無料で配布されることになった。私が選者として出席している句会では希望者を募り、お寺に必要な数をお願いして送って頂いた。早速、本日の笹子句会には20冊を持参し、お配りした。引き続き依頼を頂いた句会に持参する予定である。九年母8月号に配布の要領が掲載されているので、注文していない方はご覧頂きたい。

そもそも摩耶山俳句大会は、高野山俳句大会が閉会になったのを惜しんだ虚舟さんが、播水先生や汀子先生と相談され摩耶山に移されたもの。播水・汀子両先生が選者とあって、九年母会からもたくさんの方が参加され、目覚ましい活躍をされた。その後、関西一円の結社の主宰方が選者に加わられ、関西を代表する俳句大会へと発展、毎回百数十名が参加する大会へと発展を遂げた。私も第7回から参加し、第22回から選者に加えて頂いた。また、岩水ひとみさんは当初から清記係を務められた。

毎回、会が始まるのに先立って、九年母主宰が選者の先生方を紹介をするのが恒例だった。選者の控室が設えてあり、コの字型に並んだ正面のテーブルに汀子先生と千原叡子さん、右と左のテーブルには各選者が居並んで情報交換をするのが常だった。関西の新任の主宰や副主宰のデビューの場でもあった。

これらの記録は、毎回天上寺で纏められ、毎年「九年母」の1月号に掲載されて来たものである。虚舟さんのライフワークの集大成としてのこの冊子を是非お読みいただきたい。併せて九年母会の先輩方のご努力を再認識して頂ければと思う。

2025年7月1日火曜日

相手わざ

 復本一郎著『俳人名言集』(朝日新聞社刊)に「俳諧は殊に相手わざなれば」という芭蕉の言葉が記されている。同書に依ればこの言葉は、元禄時代に刊行された加賀の俳人「宇中」という人の著『夜話くるひ』に芭蕉の言葉として載っているという。

相手わざとは、読者が共感してくれて初めて作品となるということ。他の文芸もそうだが、俳諧は殊にそうなのだと、芭蕉は述べておられる。作者が詠んだ句を読者が鑑賞し、感動を共有してくれて(共感してくれて)初めて作品になるというのである。従って、読者の存在を意識しないで詠まれた俳句は、作品ではない、ということだ。単なる独り言であり、日記の類のものなのだ。

先日、兵庫県民共済の会誌「かけはしひろば」を読んでいたら、古民家や古い寺社を修復されている棟梁(現代の名工)の記事が載っていた。その記事の中で、「『ものづくり』をする人は、使ってくれる人を常に思いうかべながら、惜しむことなく時間も労力も愛情もそそいでいることを改めて知りました」という記者の感想が述べられていた。

私達が俳句を詠む際には、読者が有るということを常に自覚しなければならない。使い手を意識するというこの名工と同じなのだ。そのことを、遥か元禄時代に芭蕉翁は看破されていた。形を取り繕っただけの、独り善がりの句を詠む昨今の風潮を、翁はどの様にご覧になるだろう。

2025年6月2日月曜日

緑の表現

 緑の草原ではなく緑の表現について考えてみたい。初夏の候となって花は葉になり、若葉は青葉に、新緑は万緑に移り変わりつつある。まさに緑の季節ではあるが、角川俳句大歳時記の「新緑」という季題を検索してみると「緑」と「緑さす」という傍題が現れる。合本角川歳時記で「新緑」を検索してみると「緑さす」とともに「緑夜」という不思議な傍題が現れる。ホトトギス俳句季題便覧では「新緑」に傍題が無い。

今度はホトトギス俳句季題便覧で「若緑」を検索してみると、春4月の季題として、「松の新芽のこと」と書いてあり、「緑立つ」「緑摘む」などの傍題が載っている。いかにも松らしい季題である。合本角川歳時記の「若緑」には「初緑」という傍題がある。

こうして見て来ると、様々な緑に関する表現があることが分かる。ホトトギス新歳時記では新緑は夏5月の題、これに対して万緑は夏6月の題になっている。様々な緑を研究して、適切に使いこなしたいものである。

2025年5月2日金曜日

大賞に挑む

 「俳句四季」が毎年募集している全国俳句大会の第25回の大賞受賞者が決まりました。今回は全国から3044句の応募があり、280句が予選を通過しました。この予選句の中から「四季吟詠」欄担当の63名の選者が第1次本選で20句を選び、その結果を踏まえて第2次本選で大賞1句を選びました。

令和3年には田中順子さんが、令和5年には稲谷有記さんがそれぞれ大賞を獲得しておられ、九年母会には縁が深い賞です。それが何と、今回第2次本選で私が推した方が大賞に選ばれました。現段階ではどこの結社の方かは分かりませんが、いよいよご縁が深まったと思います。

「俳句四季」5月号に予選通過者の句とお名前が掲載されていますが、九年母会の方は数名と少数派です。九年母会に頂いたご縁を大切にして、先のお二人に続いて大賞を獲得されますように期待しております。応募葉書を投函しないことには、栄光は訪れません。チャレンジしましょう。チャレンジあるのみです。

2025年4月1日火曜日

諸家近詠・白樺集と自句自解

 会員の皆さんがご自分の作品を発表する俳壇は、雑詠欄や入門雑詠欄の他、諸家近詠欄や白樺集があります。諸家近詠欄は、推薦作家の中から編集部が選んだ方に最新の作品5句を発表していただく俳壇です。対象は推薦作家に限られ、往復はがきにより投句を返信していただいています。回収率はほぼ100%ですが、この俳壇は主宰が選をしませんので、結果はご自分の責任となります。

白樺集は、編集部からお願いするのではなく、同人の方が自発的に官製はがきにより毎月5句を投句していただく制度です。同人であればどなたでも自由に投句出来ます。雑詠欄ほど堅苦しさのないのが特徴で、思い切った句や冒険の句を発表するのに適した俳壇です。諸家近詠と違ってタイトルをつける必要がなく、5句ともばらばらでも構いません。主宰が選をしますのでミスがあっても安心です。

これらの俳壇に対して自句自解欄は、雑詠欄に投じられたご自分の句の説明や解釈をお願いするもので、主宰が雑詠欄の選を進める中で注目した句を抜粋し、編集長を通じてご本人に通知をし、往復はがきに書いて返信していただくものです。対象になる句は原則4句入選者の句の中から選んでいます。コロナの影響で本部例会や本部吟行が出来ず、九年母の記事が減少した折に対象者を大幅に増やしました。コロナが収まって以降もそのままの人数でお願いしていますが、ほぼ全員の方が返信して下さり、喜んでいます。

今日から九年母俳句会も新年度を迎えました。今期も九年母誌を賑やかに飾っていただきますようお願いします。


2025年3月5日水曜日

声掛け運動

 去る1月12日の新年全国俳句大会の席上、会員数の減少に対応するための「声掛け運動」を提唱いたしましたが、会員の皆様の進捗状況は如何でしょうか。年4回の定例運営委員会にても、この運動の進展具合をチェックして行きます。少子高齢化の社会情勢の中で、どうすれば会員を増やせるか、会の将来が掛かることですから、真剣に考えて頂きたいと思います。

句会の統合や新設、講座の新規開設など、幾つかのアイデアを温めています。そのためには会員の皆様の御協力が不可欠です。先ず一声かけてみて下さい。「俳句しない?」と。脈がある方が見つかりましたら、句会への参加を勧めてみて下さい。

何もしないでじっとしていては、多くの結社と同じ様に消滅してしまいます。神戸の生田神社の境内には、九年母800号記念、1000号記念そして今回の100周年記念と三つもの句碑があります。九年母会を続けないと、これらの句碑が寄って立つところの結社が無くなり、恥ずかしいことになります。何が何でも会員を増やしましょう。そのためには、とにかく声を掛けていただく。宜しくお願いします。

2025年2月1日土曜日

ネット句会への参加

今まで何度も書いてきましたが、九年母会には「はやぶさ句会」というインターネットを利用した句会が有ります。現在15名の方が加入し、毎月5句の雑詠を投句し、会員の互選と主宰の選を受けています。

他の結社ではインターネットの会議システムを使って対面式(顔が映る方式)で句会を運営している所もありますが、当会の「はやぶさ句会」では対面式ではなく、句評は画面に文字で表現されます 。他結社のような、顔が映る対面式の場合は、特に女性の場合、お化粧が気になる方もあるように聞いていますが、「はやぶさ句会」は顔が映りませんので、そんな心配は不要です。

俳句は座の文芸といわれますが、はやぶさ句会も他の参加者から自分の句の句評を受けられるという点では、座の文芸と言えます。自分一人だけの感性で俳句を詠んでいると、やがて我流という袋小路に入って行きます。独り善がりになって、読者の共感が得られない句になってしまいます。それを防ぐためには誰かに見て貰ってアドバイスを貰う事が大切です。それが互選です。共感が得られない句は没になるからです。

誰かに見て貰う、それを「はやぶさ句会」が担ってくれるのです。特に地方で学んでおられる若手の会員に申します。パソコンが無くても、スマホがあれば誰でも参加できます。一つの勉強方法だと思って参加してください。私も頑張って選をします。私か片岡副主宰に是非ご相談ください。

       小杉 080-1526-6932

       片岡 090-7360-6206   

お待ちしています。

2025年1月1日水曜日

アフター百周年

新年明けましておめでとうございます。皆様お元気で、新年をお迎えのことと存じます。今年もどうぞよろしくお願いします。皆様から沢山の年賀状を頂き、有難うございました。心から御礼申し上げます。

 創刊百周年の記念事業が終わり、ほっとしておられる方も多いでしょう。私も、いささか気が緩んだのか、体に様々な変調を来たし、静養中です。大きな目標に向かって進んでいる時は気づかないのですが、いつの間にか疲労やストレスを溜め込んでしまいす。そして目標の事業が終了した時に、その疲労が変調となって体に現れます。私の今の体調は正にそれに当たります。特に「レジェンド 我が源流 五十嵐播水」の執筆が大きな負担になりました。それに風邪の症状も加わり、変調が強く出てしまいました。歳も歳ですので直ぐに良くなるのは難しいでしょうが、ぼちぼち直してゆきます。

戦国乱世の様相が深まって来た俳句界で、これから九年母会をどこへ導くべきか、体調の回復を待って、運営委員の皆さんとじっくり考えたいと思っています。次の大きな事業は令和9年8月号の刊行1200号記念事業です。頭の隅に置いておいてください。今年も元気で頑張りましょう。