2024年4月4日木曜日

独学の弊害

 参加できる句会が近くに無いということで一人で俳句を学んでおられる方は、九年母会全体でもかなりの数になる。 九年母誌だけを頼りに学んでおられる方も多い。しかし、独学では十分な勉強ができない。季題の解釈も独り合点や独り善がりになり易い。客観的に自分の作品を見ることができないので、良いのか悪いのかも分からない。従って進歩も遅くなる。

 俳句は古くから座の文芸と言われる。会員が一所に集まって(=会衆)、お互いの作品を発表し合い、選をし合って学ぶ。句会で回覧される清記を読むことによって、季題の解釈が広くなり深くなる。会衆の批評や意見を聞くことによって、新たな気付きが生まれる。この様に、会衆と一座することによって句作や選句の力が培われる。

 居住地域によってこの様な機会に恵まれない方も多いが、添削制度やネット句会などを活用すれば、ある程度改善できる。それに加えて、本部主催の句会や吟行に頑張って出てみるとか、九年母誌の句会報欄を参照して自宅の近くで開催される吟行会に飛び入り参加するなど、やる気があればチャンスは与えられる。

 俳句は座の文芸だということを忘れず、独学の弊に陥らないように考えていただきたい。

2024年3月2日土曜日

新人の獲得

 俳句結社の主宰の仕事で最も大切なことは何でしょう。優れた句を読むことでしょうか。雑詠の選をすることでしょうか。そうではありません。一番大切なことは、結社の経営です。会社の社長と同じで、結社という組織を発展させ、会員の福利の向上を図ることです。

ところが最近、俳句結社が相次いで解散、今月に入っても二つの結社誌の終了が報じられています。一番の原因は会員の減少だと思います。少子高齢化が急速に進行し、どの結社でも高齢者の退会が悩みの種です。会員の減少は即ち会費の減少であり、経済基盤が失われれば、結社誌の継続は不可能になります。当会でも、90歳以上の会員が約35名と高齢化が進んでおり、予断を許しません。

組織を維持するためには、一つには新しい句会を設けることです。一昨年の1月に加古川にて発足した笹子句会はその成功例であり、毎月のように新しい方が入会されています。当初8名で発足しましたが、20名にまで増えました。JRの新快速の停車駅毎に句会を置き、発展拡大させる、それが私の考え方です。二つ目は、既存の句会の会員を増強することです。各句会の会員が、それぞれ一人の新人を句会に紹介する。これで句会の会員数は倍になります。会員増強の意識を常に保持し、どうすれば会員を増やせるか、会員全員の問題として考えることが大切です。

汀子先生が居られない関西の俳句界は、戦国乱世の様相を呈してくるでしょう。その中で九年母は、摂津・播磨・丹波・但馬・淡路・紀州を地盤として、土豪の如く強固な根を張って生き残りましょう。今までの100年がそうだったように、これからの100年もそうしましょう。皆様のご協力をお願いします。

2024年2月1日木曜日

俳句の信念

 今月の19日(月)に、俳句雑誌「俳句界」4月号の巻頭グラビア「俳句界NOW」の撮影とインタビューに、東京から取材に来られことになりました。私のような者が適任なのかどうか、大いに疑問がありますが、「九年母」の宣伝になることであれば、火の中でも水の底でも厭わず行くのが主宰の務め。何とかお役目を果たしたいと思っています。

グラビアのインタビューはこれで3度目。最初は「俳句界」、2度目は「俳句四季」でした。何を話そうかと、本ホームページに動画がセットされている「俳句界」のインタビューを再度見てみました。そして私の俳句に対する考え方が、主宰に就任した8年前と全く変わっていないことが確認できました。曰く「俳句は詩である」、曰く「自分の感動を季題を通じて読者に伝え、共感を得て初めて俳句という文学が成立する」、などなど、今聞いても何ら変わりません。インタビューに対する受け答えは、句会でお話ししていることで良いと確信しました。

折角の機会です、是非参考にお読みください。

2024年1月1日月曜日

年頭に当たって

 新年のご挨拶を書き終え、送信をしようとした刹那にグラグラと揺れました。すぐテレビのスイッチを入れましたら能登半島で大地震が起きたとのニュースが飛び込んできました。画面を見ている間にも何度も地震が発生し、大津波警報も発令されました。芦屋は震度3でした。

震度7,マグニチュードは7.6。阪神淡路大震災がマグニチュード7.3でしたからそれより強い地震です。テレビの画面では火が出ている様子も見え、心配です。ビルや家屋が倒れ、停電になった病院に怪我人が運び込まれているという状況は阪神淡路の時と同じです。一夜明けたら凄まじい被害が判明するのではと案じています。一刻も速く地震が収まり、被災者がゆっくり休めます様に、そして復興が順調に進みます様に祈るばかりです。

ところで、今日は元日。神戸の生田神社に家内と二人で初詣に行きました。4月には九年母創刊百周年記念の句碑が建立されますので、その工事の無事や記念祝賀会の成功をお祈りして来ました。句碑建立の窓口になって頂いている沢田権禰宜様に、初詣の参拝客でお忙しい中をお会い頂き、挨拶させて頂きました。これで句碑建立は無事安全、記念祝賀会は大入り満員間違いなし。

創刊百周年記念事業が本格的に始まります。百年前の創刊号については、今月号の九年母誌に詳しく書いておきましたので、是非ご一読下さい。

今年が皆様に取りまして幸せな年であります様にお祈りします。