2023年8月5日土曜日

大らかに詠め

 この異常な猛暑についにダウンし、ようやく復活してまいりました。昼の暑さもさることながら夜中の暑さに、命の危険を感じながら過ごしています。先日、平熱が35.6℃と低めの私が37.2℃まで発熱しましたので、これはコロナだと慌てて掛かり付けの医院を受診しました。ところが先生曰く「コロナは38℃以上になるのが普通。もっと高くなったらいらっしゃい」と門前払い。診察の結果は夏風邪。総合感冒薬を頂いて帰って来ました。それでも喉は痛むし咳は出るわ、鼻水は出るわ。尾籠な話で恐縮ですが大変でした。

ところで、先日の句会でこんな句を出して見ました。

   帰ろかな かなかな蝉も帰るころ   伸一路

「かな」をもじった句で、もちろん全く抜けなかったのですが、私は遊びがあって面白い句だと思いました。このような遊びは虚子の句にもあります。

   君知るや薬草園に紫蘭あり     虚子

薬草園に紫蘭という植物が咲いているが、君知っているかね、と虚子が句会の会員に尋ねているのです。会員の答えは「知らん」。紫蘭という言葉を掛けているわけです。

次の句は虚子の正月の句です。

   正月や句はすべからくおほらかに  虚子

この句があるお陰で、どれだけ救われたことか。句が出来ない、詠めないと思い詰める方がおられます。そんなときには虚子のこの句を思い出してみましょう。句はすべからく大らかに詠みましょう。