5月26日の日曜日、本部吟行で相生市の恒例行事であるペーロン祭を訪れた。私は前日の姫路句会が終わった後、相生に移動してホテルに泊まり、翌朝九年母の皆さんと駅で合流し、吟行先の相生湾に向かった。徒歩で20分、初めて訪れた相生市の市街地や、川に泳ぐボラやチヌ、クラゲの様子を興味深く見物した。
会場に着くと屋台もたくさん出て大変な人出。ペーロン船の競漕も始まっていた。ところが、いつもの吟行と違って人出に圧倒されたのか、精神集中が出来なかった。船を詠めばよいのか、周りの新緑を詠めばよいのか焦点が定まらず、感動が掴めなかった。
句会が始まり、回覧された清記を見て、同行の他の人達も同じだったことが分かった。全体的に成績も振るわなかった。通常、本部例会、本部吟行とも入選率は平均して35%ほど。ところが今回のペーロン吟行の入選率は20%だった。
その原因は説明句が多かったことだ。詩を描くのではなく、ペーロンの説明をしてしまったのだ。詳しくは7月号の随筆でお話しする。当日の成績が振るわなかった方、落胆するには及ばない。観光としては楽しかったが、吟行には無理だったのだ。但し、これは吟行に行って初めて分かったこと。今後の参考になった。
俳句はじっくり腰を落ち着けて心を澄まして感動を探る文芸だ。陸上競技に詫び・寂びを見出すのは至難の業だ。スポーツを詠むのは難しい。しかし、楽しい思い出にはなった。