2019年11月29日金曜日

九年母会の強み

九年母会の特徴は二つあります。先ず一つ目は俳句の水準の高さです。播水は虚子の直弟子であり、虚子の教えを頑なに守って九年母会の俳句の指導に当たりました。虚子が提唱した客観写生と平明余情という作句理念を高く掲げ、今で言うぶれない指導を徹底したのです。いささかも自分の考えは挟まず、虚子の教えをそのまま弟子に伝えました。

播水を継いだ哲也の時代は、その前半は播水の指導方針を堅固に守り、忠実に指導をされましたが、後半は2度に渡る脳梗塞の影響により、雑詠選の80%を4句入選が占めるなど、指導が甘くなりました。大幅な字余りの句も入選していましたが、病の成せることでした。そして、ご自分の判断で、その選を私に託されたのです。

「九年母は難しい」という評判をしばしば耳にします。確かに使われている漢字や表現が難しい。しかしそれは、播水・哲也という医師俳人が、虚子の教えを忠実に守って来たことによるものであり、時代に迎合した句を俳句と認めないのが九年母会のバックボーンであり、その事はこれからも変わりません。

二つ目の特徴は、団結力の強さです。播水の頃にうら若き乙女や青年であった会員の皆さんが、90歳を超えた今でも、九年会員として地方組織をしっかり固めていて下さる。九年母誌の毎月の、献呈先を除いた発行部数と雑詠投句者との間に100名の差がある。ということは、雑詠には投句していないが楽しみに読んでおられる方が100名おられる事になる。こんな事は、新興の結社では考えられないことです。

摂津・播磨・淡路という堅固な地盤を持つ九年母会は、たとえ俳句の世界に何が起ころうとも、地元にしっかり根を下ろして、伝統俳句の文化を守って行きます。先人たちが続けて来られた95年の歴史を絶やしてはならないのです。