2020年12月19日土曜日

俳句への取り組み

 山登りをする人は、山路の平坦容易なることを欲しない。断崖絶壁に突き当たっても驚かぬ。いよいよ剛健なる英気を湧き立たせる。勇躍、登攀して快哉を叫ぶ。

越えなばと思ひし山に来てみればなほ行先は山路なり。一山を越えて、ためいきをつくような人は、山登りの愛好者ではない。

山登りは人生行路の縮図である。人生行路は、紆余曲折、断崖絶壁の連続である。好んで進めばいよいよ展望は開け、興趣は尽きない。心身共に研磨鍛錬される。紆余曲折にうろたえたり、断崖絶壁にしょげかえったりする人は、人生行路の落伍者である。

                   元 駒澤大学総長 山田霊林禅師 著

                  「正法眼蔵辨道話・禅の講話」より