2016年4月15日金曜日

花びらという季語

千鳥句会の例会で、香櫨園浜に吟行した。参加者は20名。阪神香櫨園駅に集合し、夙川に沿って遊歩道を南下し、香櫨園浜に出た。西宮の御前浜の一部で夙川の河口付近の名称である。この浜から、私の住んでいるマンションが遠望できる。椰子の木の並木もあり、一見南国風の、リゾート地の様な海岸である。

阪急夙川駅の南にある夙川公園から河口まで、夙川に沿う遊歩道をオアシス・ロードと言う。川の両岸には桜並木が続き、お花見の名所となっている。遊歩道を吟行している途中で、ある方から「花筏」は季題になるかどうか、お尋ねがあった。

ホトトギス新歳時記には載っていないが、角川合本歳時記には「落花」の傍題として収載されている。特に花筏については、「水面を重なって流れる花びらを筏に見立てて花筏という」と説明がついている。私としては、花筏は詩情豊かな言葉であり、季題として詠みたいと思う。ならば「花びら」はどうだろう、と言う話になった。

花びらはチューリップなど様々な植物にもあり、季題として使うには無理がある。従って桜の花びらを詠むならば、花の傍題に有る「花屑」を使うようにというのが汀子先生のご意見である。しかしお言葉ながら、花屑という言葉には、土にまみれた塵の様な語感があり、花びらに代わる季題として使うには抵抗感がある。

ならば、枝を離れて空中を舞う花びらを落花と詠み、地面や水面に落ちた花びらを花屑と詠んだらどうだろう。この方が抵抗感が少ないかもしれない。静かに散れば、落花舞う。風が吹けば、花吹雪。美しい言葉である。

      流れゆく形は自在花筏    伸一路