2016年2月29日月曜日

紅梅と白梅

梅には紅梅と白梅とが有る。それぞれ種類が違うので、紅白別の花が咲く。紅梅には紅梅の、白梅には白梅の、それぞれ違った趣がある。

     紅梅は日に白梅は月にこそ     伸一路

この句は、紅梅・白梅それぞれの趣の違いが詠めたと思っている。言葉に関する感覚に個人差があるかも知れないが、紅梅はやや温かみのある、ベクトルで言うとプラスベクトルではないかと思う。これに対して白梅は、ややマイナスベクトルのような感じがする。

先日の句会の互選で、成績の良い梅の句が二つあった。

     人住まぬ家の紅梅香を拾ふ
 
人が住まない家というのは楽しいものか淋しいものか。私の感覚では淋しいものである。であれば、この句の場合の梅の花は、白梅とした方が淋しさが表現出来るのではないだろうか。もう一つの句は、
      
     白梅のほころび初めて娘は嫁に

私が娘を嫁に出すのであれば、紅梅が咲いていてほしい。その方が明るくて温かい感じがする。花嫁衣裳は白無垢とされているが、せめて紅梅にして、温かく送りだしてやりたい、と思う。

紅梅が咲いていたからとか、白梅があったからとか、という理由でそのまま俳句に詠いこむことは避けるべきだ。どちらの梅が、季題としてより有効に働くかを勘案してほしい。白梅が有っても紅梅で詠めばよい。俳句は詩である。見たままでは詩ではない。

ただ最近、「思いのまま」という名前の梅を良く見かける。一本の木に紅白両方の花が咲く。季題としての使い方は難しい。思いのままには使いこなせないかも知れない。

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